それも2016年以降で急増。
まずは結果の絵からご覧ください。
老人福祉事業者の倒産件数
(2000年~2008年)

この資料は帝国データバンクというところの資料から数値を入れてみたのですが、負債が1000万円以上の法的整理の件数です。
縦軸は同じ数値で
(2009年~2018)

2018年の老人福祉事業者の倒産は83件で、2016年91件、2017年88件に次いで過去三番目の高水準。負債総額は前年比では65.6%という事で、大規模な倒産が少なかったことがわかります。
時際の負債総額別の資料を除いてみると、1億円未満が85%を占めていました。
そしてさらに、83件のうち主力事業の詳細ごとにわかる範囲で展開してみると

訪問・通所介護で82%を占める結果でした。
ここから読み取れるのは、初期投資の負担が少なく起業しやすいと言われる「訪問介護」「通所介護」が倒産件数の大半であるという事がわかります。
昨年実施された介護報酬のプラス改定が業界にどんな影響を及ぼすのか注目されていましたが、利用者の業者選別基準はより厳しくなってもきています。
需要に対して、業界へ参入したものの経営が上手くいかず倒産という事なのか?長く続けていた中で、周囲の環境の変化によってここにきて力尽きたのか?主要因から探ってみたところ・・・・
計画通りに事業展開ができない事が大半という結果でした。
当初の計画・予定していた利用者が集められず、資金繰りが厳しくなり倒産に追い込まれる「販売不振」が構成比で67.9%、ほか1桁台の構成比ではありますが、「放漫経営」という原因が4件ありそのうちには、報酬の不正請求に関与した複数のケースがあったり、代表が資金繰り難から窃盗事件を起こし逮捕されたというケースも含まれていました。
いずれにしても、小規模事業者が大半を占める為、知名度・信用・実績に乏しい事から事業を軌道に乗せる事が厳しい現状があるのかもしれません。
競争が激化する小規模事業者を中心に2015年の介護報酬改定(引き下げ改定)が影響し、2016年以降の倒産件数が急増していますが、2018年の引き上げ改定が来年以降の件数にどのような影響が出るのか?
そして、さらに深刻化していく人手不足の問題を各事業者がどのようにクリアしていくか?利用者の選別意識が高まる中で、知名度、信用をいかに気付くか?のブランディングも同時に行いながらの安定した経営はなかなか難しいものなんだと感じました。