普段意識しないところでの値上げについては、言われないと全く気付かないものです。
今日は、「ドライアイス」の話。生鮮食品や冷凍食品の温度管理に使うドライアイスの不足の懸念が強まっています。
宅配用などの需要が伸びる一方、原料の炭酸ガスを製造する製油所でトラブルが相次いだことが原因です。メーカーはコストがかかる輸入を増やす一方で、値上げに踏み出そうとしています。昨年度を上回る深刻な品不足とコスト増・・・。まさに、冷や汗がにじむ夏となりそうです。
「6月初旬時点でガスのタンクが満タンにできないなんて・・・こんな事態は経験がない」
そんなコメントを発表しているのは、ドライアイス国内最大手「エア・ウォーター炭酸」の役員さん。
同社は例年、お中元商戦の始まる6月末に備えて、ドライアイスの中間原料となる液化炭酸ガスでタンクを満たします。しかし、現在は「満タンにはほど遠い状況」と言う事なんです。
ドライアイスは原油精製の過程で生じる炭酸ガスをメーカーが仕入、高圧で液化させた液化炭酸ガスを作ります。今年は大手石油元売り会社の製油所でトラブルが多発したことで、1つの製油所で複数回止まる事例もあった様子。
「少なくとも30件前後はトラブルが発生し、炭酸ガスの不足感が高まった」との関係者からの話もあります。
製油所の統廃合も供給を制約する要因となっていて、経済産業省は石油業界に対し「エネルギー供給構造高度化法」に基づく製油所の統廃合を求めているようです。石油連盟によると2017年の原油処理量は07年比2割減っており、原油処理量の先細りは炭酸ガスの供給減につながるわけです。
生鮮食品などを扱う電子商取引(EC)のサービス拡大に伴い、ドライアイスの需要は宅配向けを中心に毎年3%程度伸びています。猛暑で需要が伸びた昨夏以上に品不足の懸念が強まっています。
いったいどのくらい使っているのか?
ドライアイスの国内需要量は年35万トン前後で、うち2万6千トン前後を輸入品でおぎなっています。大手の日本液炭は例年、6月末からドライアイスを輸入しますが、今年は前倒しで4月に始めています。
「前年より輸入を増やす予定だが、すべての出荷要求には応えられない」と同社の担当者は悩ましげなコメントを寄せています。
日本が輸入の大半を頼る韓国からの調達拡大も期待薄です。大手の昭和電工ガスプロダクツは「韓国の2社に依頼したが、1社からの反応が鈍い」と・・・・。今年は業界全体で需要に対して2万~3万トン程度が不足する可能性があるとされています。
しかし、安定供給のためには輸入を増やすほか、低濃度ガスからの生産を増やす方策もあります。ですが、輸入を増やせば物流コストがかさみ、低濃度ガスからの生産も経費が高くつくわけで、いずれ調達コストは通常の2倍以上になってしまいます。採算改善には1キロ100円前後とされるドライアイス価格への転嫁が避けられない状況です。
エア・ウォーター炭酸は「供給拡張は喫緊の課題。今後は値上げをお願いすることもあり得る」との打診。とはいうものの、過去最悪の品不足との声が高まる今年でさえ、大手4社に値上げ表明の動きは見られていません。
嵐の前の静けさ・・・・なんでしょうか。
ドライアイスは6月末からお盆にかけて需要の6割が集中するため「45日ビジネス」とも言われています。値上げで収益を改善できても、不需要期の冬場に顧客離れを招きかねません。そうした不安がメーカー各社に値上げをためらわせる一つでしょう。数量確保と収益改善の両面で薄氷を踏む状況が続きますね。
2018年06月18日
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